シングルモルト津貫 2024 Edition

2024年2月21日

基本情報

容量：700ml

アルコール度数：50％

種別：シングルモルト

産地：日本

製造会社：本坊酒造

実売価格：9000円前後

商品説明

公式サイト説明

2024エディションは、バーボンバレルやシェリーカスクを主体に様々な樽で熟成したモルト原酒をヴァッティング。48200本限定リリース。

コスパ重視の私にとってジャパニーズウイスキー（特にここ10年でできた蒸溜所）は「コスパが悪い気がする」「定価でまともに買えない」「つーか高過ぎて手が出せない」という理由から避けてきました。

しかしこの津貫2024は2月下旬時点では定価で買えるうえにSNSでの評判もかなり良かった為、意を決して購入してみました（私にとって9000円は高級ウイスキーですので）。

マルス津貫蒸溜所

2016年に稼働した津貫蒸溜所は寒暖差のある盆地の気候と良質な水源に恵まれた薩摩半島の山間にあります。

実はつい先日鹿児島県にある蒸溜所に行ってきました。蒸溜所見学が予約必要なしで無料なのは嬉しいですね。

蒸溜所の隣にある旧本坊家邸宅では本坊酒造がリリースしてきた貴重なウイスキーを有料で飲むことが出来ます（私は車だったので泣きながら帰りましたが…）

津貫では石蔵樽貯蔵庫にて原酒を熟成。本坊酒造は他にも信州蒸溜所に加えて屋久島にも熟成庫を持っています。

津貫のオニオン型のポットスチルはヘビーでリッチな酒質を生みます。対してマルス信州蒸溜所ではライトな酒質が特徴とされています。

テイスティング

香り

アーモンドチョコレート、リンゴ、オレンジ、バナナ、焦がした樽、燃えた後の炭

芳醇な香り立ちで50％ながらアルコール刺激もありません。シェリー樽由来の甘い香りやりんごの酸味、そして軽く焦がして黒茶色になった樽のような香ばしさが特徴的。アクセントとしてオレンジ系の酸味が効いている。

個人的にこの香り、大好きです。

ストレート

焼いた木、火を通した果物、ダークチョコ、フィニッシュにナッツ、余韻にはエスプレッソのビターさが残ります。

通底して軽く火で炙ったような、くぐもったビターさと香ばしさが感じられます。

50％加水ながらアルコール辛さは感じませんね。

加水

香りはくぐもったニュアンスが減退してカスタードやすりおろし林檎、オレンジが強強に。

味わいはダークチョコ、ブラッディオレンジ、ローストアーモンド、中盤にジューシーな果物やシナモン、フィニッシュでようやく焦がした樽感と余韻にはスモーキーさが残ります。

よりスモーキーさを感じたい方には加水がオススメ。加水でもボディが失われないのは良い。

ロック

冷え切るまではストレートと加水の中間の香り。冷えて加水が進むとグレープフルーツの酸味やワクシーさ、奥にチョコレートが出てきます。

味わいもは香ばしいニュアンスにチョコレートの甘さ、そしてジューシーな果実の風味を万遍なく感じられてとても美味しい。

更に加水が進むと梨のような酸味と控えめな甘さが増してきます。

ハイボール

香りは林檎の酸味が少し感じ取れます。

味わいはバナナクリームやバニラの甘さと林檎や金柑の酸味。中盤にチョコレートと程よく感じるウッディなスモーキーさ。フィニッシュにはベリーやシナモン。余韻には心地よい甘さと焦がした樽のスモーキーさが残ります。氷が溶けてくると砂糖を入れた紅茶のニュアンスも感じ取れます。

かなりクリーミィで複雑で奥ゆかしいハイボール。座してこの津貫ハイボールと対話したい。9000円のウイスキーをハイボールにするのは躊躇しますが、飲みごたえもあり複雑なので相応のリターンは得られていると思います。また50％なので1:4で割っても十分味わいしっかり美味しいです。

総合評価

他のジャパニーズウイスキーと比べて美味しいか、コスパが良いかは私には経験が無いので分かりません。

しかし「普通に買えるのに期待値以上に美味しく、個性もしっかり出ているジャパニーズ」である津貫2024はとてもいい銘柄だということは分かりました。

2016年年末稼働なのでどんなに長くても7年熟成の原酒でしょうが、それでも熟成感は必要十分感じられました。またシェリー樽とバーボン樽原酒のバランスも良く、独特のくぐもった香味は個性的で魅力的。

どの飲み方でも一定以上のポテンシャルを発揮しますが、個人的にロックとハイボールをお勧めします。特にハイボールは飲み手を絶対に選びますが、私は大好きでした。

あ、唯一ボトル形状が安っぽいのは気になりましたね。2000円以下のツインアルプスとほぼ同じで高級感が皆無。庶民にとって9000円は高級銘柄なので見た目はもっと拘って欲しいところです。