NAと長期熟成

 

NAと年数表記

NAとはノンエイジ(またはNV=ノンヴィンテージ)と呼ばれる年数表記のないウイスキーを指します。

ジャパニーズウイスキーの一般的に(頑張れば)手に入るボトルは「山崎」「白州」「知多」「響JH」「余市」「宮城峡」「竹鶴」「富士」とすべてNAなんです。

 

それに反して恐らく初心者の方が初めてウイスキーを買う際に一番の指標にしているのは年数表記ではないでしょうか?

「年数が長い程美味しいんでしょ?」
「年数表記があった方が価値があるように感じて安心する」
「年数表記がないボトルは安物で美味しくない」

と年数物だけを買う方は少なくないでしょう。数字という明確な付加価値が付いている方がいいと思うのは当然のことです。

年数あると安心できますからね(笑)

しかしウイスキーの美味しさは熟成年数だけでなく「原料」「設備」「蒸留方法」「熟成環境」「個体差」など様々な要素で決まります。ですから同じ蒸留所であっても”熟成年数が長い=美味しい”なんて単純な話ではないのです。

 

年数表記物が高騰している理由

ここ近年ジャパニーズだけでなくスコッチでも次々とNAの製品がリリースされ、そして年数表記物(特に18年以上の長期熟成物)の価格がどんどん上がっていっています。これはどこの蒸溜所も世界的なウイスキーブームで原酒不足に陥っているからです

そこで天才は思いますよね?

 

「え?それなら増産してガンガン作ればよくね?」

 

もちろん多くの人気蒸溜所は原酒不足を予見して数年前から設備投資を行って生産能力を高めており、以前より多く原酒を作っています。しかしどんなに樽に原酒を詰めたとて、仮に12年物が出来上がるのは蒸溜から最低でも12年後。つまり数年前に増産した効果が出るのはまだまだ先という残酷な現実があるのです。

現在蒸留所がストックしている長期熟成原酒には限りがあるので、少ないパイの奪い合いになって価格が高騰しているのです。最近だと「ラガヴーリン16年」は2年前まで6000円程だったのが現在は倍以上高くなっています。ではそれだけの価値があるか?というと「う~ん」という話なんですよ。最近の超熟ウイスキーは価格と味が釣り合ってないことが殆どです

 

NAのメリット

そこで注目されたのがNAでした。熟成年数を冠さないことによるメリットは

原酒選択の幅が広がる…年数に縛られない為、ブレンドする原酒の選択肢が増える⇒挑戦的な製品も出せる

供給が安定する…年数に縛られなければ様々な原酒を用いれるので安定して生産できる、また若い原酒は様々なリスクが少ない(天災、個体差、エンジェルズシェアなど)

価格を抑えられる…若い原酒=低コスト低リスクの為、高騰気味の現代でも比較的価格を抑えて発売できる

 

個人的にNAの良さが一番感じられるのは「白州」です。とてもNAとは思えないアルコールの丸みと、ある程度若いからこそのフレッシュ感やスモーキーさが感じられる、正にNAの良さを最大限生かしたブレンダーの腕が光る銘柄だと思います。あの感じは長期熟成では逆に出しづらいんじゃないかな?

 

他にも「グレングラント アルボラリス」は2500円という手の出しやすい価格と飲みやすさから発売直後から大人気銘柄になっています。

 

そんなNAのデメリットもありまして「いくら原酒やブレンドが良くても長期熟成ならではの深みや複雑さはNAでは簡単には出せない」ということです。単調な銘柄が多いのは事実で流石にそれは仕方ないことですね。

 

結局はその人の好み次第!

いくら抗ってもあと10年程は長期熟成原酒の枯渇は続いてNAのリリースは更に増えるでしょう。あまり視野を狭くせずに様々な銘柄に挑戦して欲しいです。

最後になりましたが「結局はスペックではなく飲む人の好み次第」「長く寝かせればウイスキーが美味しくなるわけではない(美味しくなくなる原酒も多い)」という事実を忘れないで欲しいです。

女性だってそうでしょ?「若ければいい」「スタイルが良いに越したことない」そんな単純な話ではないんです。ウイスキーだって同じです。

 

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