基本情報
容量:700ml
アルコール度数:45%
種別:シングルモルト
産地:日本
製造会社:ニッカウヰスキー
実売価格:5000円
商品説明
今回は世界的なジャパニーズウイスキーブームにありながら数少ない定価…何なら定価より安く買える不人気なシングルモルト宮城峡をレビューします。
同じニッカのシングルモルト「余市」は市場に出ればすぐに完売。ブレンデッドモルトの「竹鶴」に至ってはリニューアル後まったく姿すら見ません。それなのに宮城峡だけは酒屋やスーパーで売れ残っているのが現状です。
よく耳にする不人気であまり売れていない理由は
①ハイボールがイマイチ
②癖がある
③売れ残っているのでイメージが悪く飲まず嫌いで敬遠されている
というもの。確かにこれだけ売れ残ってたら美味しくないと思われても仕方ありませんよね。
宮城峡蒸溜所
宮城峡蒸溜所は余市蒸溜所に次ぐニッカの第二蒸溜所です。稼働は1969年と半世紀以上の歴史があります。
この蒸溜所は仙台から25㎞ほど離れた広瀬川と新川が流れる渓谷にあります。この地に建設した理由はニッカ創業者の竹鶴政孝が宮城峡蒸溜所の仕込み水でもある新川の水でブラックニッカの水割りを作ったところあまりの美味しさに建設を即決したかららしいです。
余市の「石炭直火蒸溜」に対して宮城峡はスチームによる「間接加熱」、ポットスチルも余市のストレートヘッドに対して宮城峡は丸く膨らみのあるバルジ型。酒質もドッシリとしていてピーティーな余市に対して華やかでフルーティーなのが宮城峡の特徴。
また「カフェ式連続式蒸溜器」通称「カフェスチル」を導入していることも大きな特徴。カフェスチルは大量生産ができて個性を生まない現代の連続式蒸溜器とは真逆の大量生産に向かず原料の個性が残る旧式タイプの蒸溜器。これは竹鶴政孝の拘りであって、現在も「ニッカといえばカフェグレーン(原料はトウモロコシ等の穀物)、カフェモルト(原料は大麦)」と言われる程ニッカの多層的な味を決定づける大事な製法なんですね。
テイスティング
香り
チョコレート、りんご、びわの実、いちご、蜂蜜、あんこ、ゴム。
甘さとフルーティーさが強く、その奥にシェリー樽特有の硫黄っぽいサルファニーな香りもしてきます。変なアルコール臭はしません。
ストレート
りんご、蜂蜜、マンゴー、アーモンド。余韻に少しだけスモーキーさがあります。
全体的な印象は甘くてフルーティーでオイリー。そして甘さが無くなった中盤以降はゴムを噛んだような渋みと同時に鼻からも硫黄っぽさが抜けていきます。
この渋みや硫黄感は苦手な方が多いでしょう。私は飲んでくうちに慣れて全然平気でしたが。
トゥワイスアップ
香りはフルーティーさと硫黄っぽさが増しました。またバニラ感も追加されています。
味わいとしてはストレートで気になった渋みが減ってフルーティーさがより際立ってきました。
が同時に水っぽくなり風味が全体的にダウン。そこで目立ってきてしまったのがアルコール感。これはキツイ…。
ロック
冷やすと渋みや硫黄感が消えて蜂蜜の甘さが強くなりました。そしてチョコレート、アーモンド、りんご。余韻にはビターさが残るものの心地よい程度。
ストレートに比べ相当飲みやすくなった。
しかし飲みやすいということはそれ即ち「宮城峡じゃなきゃ駄目ですか?」となってしまう…。
ハイボール
ソーダで割るとりんご、レーズン、優しめの蜂蜜とバニラ、そして香りでもあったびわの実とあんこ。中盤にビターさとレザーのような渋さが少し顔を覗かせるが不快なレベルではない。余韻もクリーミィな甘さとビターさが残ります。
「宮城峡のハイボールはイマイチ」なんてのはホント一部の人の意見であって私は全然悪くないと思いました。重くて宮城峡はコッテリ系。これが苦手な人もいるでしょうね。
総合評価
飲んでみて「不人気だと言われるほど悪くはない」けども「人気が出ない理由も分かる」というのが率直な感想です。分かりやすさと飲みやすさが少し足りない気がします。私は値段に目を瞑ればまぁ悪くないなと。
余市や白州の方が誰でも美味しさが分かりやすく、宮城峡は特有の癖や重い感じが初心者にはハードルが高いのかも知れません。また同じ華やかフルーティー系の山崎と比べても宮城峡は飲みにくさが目立ってしまっている。サントリーは初心者にも飲みやすいウイスキーをブレンドするのが上手いですね。宮城峡はちょっと玄人好みかなぁ。
あとはやっぱりブランド力が無いのとボトルデザインも何か安っぽい気がするんですよね(個人的感想)。やっぱり特別感が無いと一般の人は5000円するお酒なんて買いませんから。その辺ニッカさんも頑張って欲しいです。
本当は宮城峡10年も飲んでみたいんですが、ニッカの年数物が安定して供給され始めるのは2030年以降らしいですよ…トホホ…。
香り | 甘くてフルーティー | |
ストレート | 硫黄っぽさが人を選ぶ | |
トゥワイスアップ | アルコールの逆襲 | |
ロック | 飲みやすい分だけ個性が薄れた | |
ハイボール | コッテリだがハマる人にはハマる | |
総合評価 | 少し取っつきにくいジャパニーズ |
ご覧いただきありがとうございました。
それでは皆様楽しいウイスキーライフを♪
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